研究概要 |
病院外で発生した心肺機能停止患者の多くは、救急隊により心肺蘇生処置を施行されて、医療機関に搬送される。しかし、その多くは、外来死亡している。これらの患者に対しては、予後改善の努力が必要であると同時に、医療資源の有効活用の観点から、心肺蘇生処置を中止する科学的根拠も要求される。 本研究では、心肺蘇生処置がどのような場合に有効かを検討し、以下の点に関して新たな知見を得た。 1. 心肺機能停止患者の来院後、心静止状態が30分以上継続する場合、自己心拍の再開は期待しがたい。 2. 来院時心肺機能停止患者のうち、自己心拍が再開した患者では、心拍の再開から自発呼吸の再開までに要した時間が6時間以上の場合、生存退院が期待しがたい。 3. 上記1,2は高齢者と若年者で差を認め得ない。 4. 救急隊や一般市民による心肺蘇生処置により、来院時に既に自己心拍が再開している患者は、社会復帰することが多い。 5. 予後に寄与する因子は、bystander CPRの有無である。
|