ラット肝より常法に従いコラゲナーゼ潅流法を用いて、hepatocyteを調整し、48時間培養後にリン酸カルシウム法によってクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)融合CYP2Bl遺伝子を導入した。導入後直ちにフェノバルビタールを添加し誘導を開始したが、この際これまでIX10^<-6>Mでデキサメサゾン(Dex)を添加した培地を用いていた。その結果、フエノバルビタール自身による誘導効果が顕著に認められない可能性が考えられた。再度培養条件を検討した結果、誘導作用のみ減弱が期待されるハイドロコルチゾン(HC)を用いることによりフェノバルビタールによる誘導作用が著しく認められるようになった。この条件下において、CYP2Bl遺伝子5^1-非翻訳領域についてフェノバルビタールによる誘導作用との関連性を検討した。5^1-上流2.4kb以下ではフェノバルビタールによる誘導作用及びCAT活性は検出出来なかった。又、4.4kbと2.4kbを比較すると464kbではフェノバルビタール添加時と無添加時で違いが認められたCAT活性について、2.4kbでは有意な差が認められなかった。このことから、CYP2Bl遺伝子5^1-非翻訳領域のうち2.4kb付近は定常レベルのCYP2Blの発現に関与し、さらにフェノバルビタールによる誘導に関しては、それより上流域が必要であると示唆された。そこで、4.4kbのうち2.4kb付近を欠損させた遺伝子を作成し、フェノバルビタールの誘導作用について検討を行った。フェノバルビタール添加によるCAT活性の誘導については、わずかに欠損遺伝子を導入した場合に高い活性が認められた。従って定常時CYP2Blの発現の抑制的な発現調節に関与している領域として2.4kb付近が考えられた。この可能性については2.4kbと4.4kbの遺伝子を併用して導入した際、抑制的な因子の関与が減弱され、CAT活性がさらに上昇するのではないかと考え、現在検討を行っている。さらに、定常状態の発現に関連があると考えられる領域についてはin vivoの実験で抑制的な調節が認められた甲状腺ホルモン、成長ホルモン及び甲状腺ホルモンの作用と拮抗するデヒドロエピアンド口ステロン(DHFA)について、これら内分泌添加によるCAT活性の変動を比較検討している。
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