研究概要 |
1.成績:(1)Procoagulant activity(PCA)の測定:白血病細胞ホモジネートに正常血漿Ca2^+を加え凝固時間を測定した。骨髄系白血病細胞ではリンパ系腫瘍に比べて、PCAは高値傾向を示した。特に、DICを合併した急性前骨髄球性白血病(APL)では著しい高値を示す症例が多く、その他の急性骨髄性白血病(AML)例でも高値を示した。一方、慢性骨髄性白血病(CML)ではchronic phaseでは低値であるが、急性転化を示すと高値となった。(2)第X因子活性化能の測定:白血病細胞ホモジネートに第X因子を加えインキュベート後、発色合成基質S2222を加え、吸光度の変化により活性化第X因子の生成を測定した。AMLやALLでやや増加していたが、各病型で有意な差はみられなかった。また、DIC症例と非DIC症例との比較においても差を認めなかった。(3)患者白血病細胞上でのMac-1の発現をフローサイトメトリーにて測定:急性白血病患者11例(AML7例:M01例,M1 1例、M2 3例、M4 1例:ALL3例、LGL白血病1例)、骨髄異形成症候群(RAEB-T)1例を対象とした。AMLでは、M4にてMac-1発現率が40%と著明に上昇していたが、他のタイプでは1〜13%程度であった。ALLも3〜15%程度であったが、LGL白血病では33%と高値であり、臨床的にも凝固亢進状態を認めた。今後、Mac-1発現を高率に認めた白血病細胞上の、Mac-1を介したXa活性について検討する予定である。
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