研究概要 |
網赤血球測定装置R-2000ベースにし、撮像のためのCCDカメラを組み込み、イメージング機能を備えたフローイメージサイトメーターを試作した。RNA、DNAを染める蛍光色素オ-ラミンOによる前方蛍光強度(forward fluorescence intensity,FFL:x軸)と前方散乱強度(forward scatter intensity,FSC:y軸)をパラメータとして用いることにより赤血球、白血球、血小板の三者を大まかに区別することが可能となった。さらにFFLとFSCのみでは困難であった小赤血球と大血小板との区別が、CCDカメラからの画像によって可能となった。この条件下で血小板活性化物質を加えた血液を測定したところ、y=xの方向に血小板凝集塊の生成が観察された。この凝集塊は様々な大きさをとり、数個の血小板が集まった凝集塊も容易に検出できた。しかし、赤血球程度、あるいはそれ以上の大きさの血小板凝集塊は網赤血球の存在する領域と重なり合い、血液中では圧倒的に赤血球が多いため、血小板凝集塊の検出効率が悪かった。そのため、希釈緩衝液を酸性に傾けることで網赤血球の蛍光強度を低下させて、血小板凝集塊と網赤血球との重なり合いを少なくする事で凝集塊を効率よく検出することに成功した。これらの基礎検討により血液中からの血小板凝集塊の検出が高感度かつ特異的に行えるようになった。 これまで、血小板凝集能の評価は血液より血小板のみを分離した血小板浮遊液(platelet-rich plasma;PRP)を用いて行われてきた。しかし、全血でのみ血小板凝集を起こす活性化物質があり、全血で血小板機能を評価することの重要性を示唆する結果が得られている。データ処理の高速化については現在、進行中である。
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