研究概要 |
多発性骨髄腫、慢性関節リウマチ、人工透析患者でアミロイドーシス非合併例と合併例のアポリポ蛋白AIとAIIの血清濃度を測定した。各基礎疾患群でアミロイドーシス合併例でAIIは低下傾向にあり、AII/AI比をとると各群の合併例を効率よく選別できた。一例としてAII/AI比のカットオフ値を0.2とすると、アミロイドーシスの診断の感度、特異性は骨髄腫で、50%,100%、関節リウマチで、80%,78%、透析で46%,90%となり、この解析により生化学的な分析で各基礎疾患群でアミロイドーシスの合併を診断できる可能性が示された。 アミロイドーシス合併でのアポAII濃度低下の機序を調べるため、マウスアミロイドーシスモデルにおけるアポリポ蛋白の挙動を検討する実験系の準備にとりかかった。マウスのAIとAIIに対する抗体を自家作製するため、免疫抗原の調整をした。AIは量的に豊富なためマウス血清より精製した。AIIは血清より得られず、マウス肝臓のcDNAよりコンビナント蛋白の作製をおこなった。既に血清アミロイドAの系で成功しているpET21発現システムはマウスAIIでは十分な発現量が得られなかったため、fusion蛋白を発現するpET32のシステムで抗原を調整できた。ウサギに免疫することで抗マウスAI抗体,抗マウスAII抗体を得て、血清濃度を測定するための酵素免疫測定法の系を確立した。 現在、マウスに炎症刺激を与えることにより、アミロイドーシスを作製し、アミロイド沈着の有無、程度と血清アポAI,AII濃度の関係を調べている。またAI,AIIが組織内のアミロイド線維と相互作用するかどうかを免疫組織化学的に調べるつもである。
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