国立医薬品食品衛生研究所・細胞バンクの各種培養細胞株(計12種類:JCRB0612 GOTO、JCRB0621 NB-1、JCRB0085 HL60、JCRB0006 HL60RG、JCRB0112.1 THP-1、JCRB0034 RPMI8226 JCRB0713 HeLa S3(sc)、JCRB0622 HSC-2、JCRB0814 VMRC-LCD、JCRB0603 V79、JCRB0030 CHL/IU JCRB9018 CHO-K1)について染色体標本を作製し、染色体分析の再確認を行った。分析内容はギムザ染色による染色体数分布の計数とモード数の特定、Qバンド法のよる核型分析である。従来の標本作製法では、一部の細胞株(特に固形腫瘍由来)で染色体が凝縮し、解析が困難なものも存在したが、今回低張処理の段階を改善することにより、格段に広がりの良い染色体像を得ることが可能となった。各細胞株の染色体モード数は;GOTO:43(60%)、NB-1:44(88%)、HL60:45(42%)、HL60RG:43(76%)、THP-1:49(44%)、RPMI8226:68(38%)HeLa S3(sc):64(28%)、HSC-2:113(28%)、VMRC-LCD:51(48%)、V79:22(85%)、CHL/IU:25(94%)、CHO-K1:20(90%)であった。各細胞株のQバンド像を冷却CCDカメラ(Photometrics PXL)でコンピュータに取り込み、カリオタイピングシステムikaros(Carl Zeiss Vision)により、Qバンド核型を作成した。またCGH(Comparative Genomic Hybridization)法の条件検討をプローブDNAの標識に着目して行い、従来のFITCとRhodamineによる検出系とSpectrumGreenとSpectrumRedの2色の蛍光色素を使用する系とを比較検討し、実験の簡便さとシグナル性状の2点から後者の方法で行うことがより高精度な分析が可能であるとの結論に達した。平成10年度には各細胞株ごとにCGH法を行い、核型分析データを踏まえたゲノムの増幅および欠失領域の特定を行い、染色体再配列の総合的な解析を目標とする。
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