慢性疾患をもつ中学・高校生の飲酒・喫煙に関連する要因を探索する目的で、1) 慢性疾患をもつ高校生の飲酒・喫煙行動と、療養行動、自立性、親子関係などの諸要因について調査を行った。これらをもとに、2) 家族が主体となって行う予防教育ガイドラインの作成を行った。1)に関しては、慢性腎疾患をもつ高校生37名に予備調査を行い、友人とのつきあいや、友人の飲酒喫煙行動との関連が、健康児と同様にみられることが明らかになった。これらの結果は英国で開催された第2回国際看護学会で発表し、まとめた。この予備調査をもとに、慢性腎疾患をもつ高校生80名に対し、さらに質問紙および聞き取り調査を行い、飲酒・喫煙行動、療養行動、親子関係、自律性についてのデータ収集を行った。患児・家族ともに、喫煙の害については認識しているものの、飲酒については寛容であることが明らかになった。また飲酒・喫煙が習慣化している児については、家族からの児の飲酒・喫煙をやめさせるようなはたらきかけは、ほとんどないことがわかった。これらのデータの詳細は現在分析中である。調査過程で特定した飲酒・喫煙行動が習慣化している男児2名と女児1名に関しては、国立療養所千葉東病院の外来看護スタッフらとともに継続した援助方法を検討中である。また、母子・父子家庭などで家族のストレスが高く、予防教育に積極的に参加することが期待しにくい例もあり、事例検討をすすめる予定である。2)の家族が主体となって行う予防教育に関しては、調査結果に専門家らの意見を取り入れて、ガイドラインの原案を作成した。今後はこれらをもとに、施行時期を検討した上で、ビデオなどの導入によって、援助方法の充実をはかりたい。
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