研究概要 |
静岡県浜松市村櫛町に住む65歳以上の住民710人を対象に骨密度検診に招待し、面接調査と体力測定を含めた転倒調査を実施した。調査期間は平成9年8月4日から8日の5日間である。調査内容は疾患、内服薬、自覚症状、日常生活動作、QOL指標(老研式活動能力指標、生活満足度尺度 K、抑うつ尺度(GDS)、自覚的健康感、ソーシャルサポート)、過去1年間の転倒、転倒恐怖感などである。調査の参加者は471人(66.33%)、本研究では本人が回答した467人を対象として統計パッケージSAS(Statistical Analysys System)を用いて統計学的解析を実施した。転倒後症候群の一兆候である転倒恐怖感については「転ぶことがこわいと感じますか」という問いに対して「とても恐い」と答えた人は120人(25.70%)、「少しこわい」172人(36.86%)、「こわくない」175人(37.47%)であった。性別ではとても恐いと答えた人が男性30人(男性中 15.63%)、女性90人(32.73%)と女性が多かった。年齢階級別では年齢が高くなるほど「とてもこわい」と回答した人が増加していた(Mantel‐Hensel x ^2=25.148,p<0.001)。転倒恐怖感とQOL指標の各項目とSpermanの順位相関係数を算出したが、老研式活動能力指標(r=0.16,p<0.001)、生活満足度尺度 K(0.19,p<0.001)、抑うつ尺度(GDS)(r=-0.21,p<0.001)、自覚的健康感(r=-0.24,p<0.001)、ソーシャルサポート(r=0.123,p<0.01)と有意な関連が認められた。転倒恐怖感を目的変数として、QOL指標を説明変数とした重回帰分析を実施したところ、年齢(p<0.01)、性別(p<0.001)、健康度自己評価(p<0.001)に有意な関連が認められた(p<0.001,R=0.40)。 また、上記の結果なども踏まえて転倒後症候群に関してMedlineで検索し、総説論文として発表した。
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