1.家庭訪問による面接調査 高齢者を在宅で介護している世帯で、保健婦の紹介を受け、協力の得られた1事例を対象。筆者が保健婦として関わった平成9年6月〜平成10年2月までの援助経過から、明らかになったこと。 (1)介護家族の在宅ケアサービスの利用に対しての意識に影響を与えていると考えられる要因 ・本人の健康状態および介護家族の健康状態 ・介護経過および介護家族の介護に対する意識、価値観 ・本人と主な介護者の関係性(介護以前からの関係を把握することが重要) ・本人と家族および別居家族との関係性 ・近隣者と本人および介護家族との関係性 ・サービス利用時の提供者側の対応状況、本人の状態 (2)看護職としての基本的な家族援助の姿勢 ・できる限り家族全員に会うことを試みて、家族の潜在能力を引き出す援助をする。 ・家族の関係性を把握し、家族員の情緒的な援助を試みる。 ・家族全員が介護は家族の課題であるという認識を促すための援助を試みる。 ・個々の家族員の健康状態および健康観を把握し、セルフケア能力を促すための援助を行うとともに、それらが家族に及ぼす影響についても把握することが必要である。 2.介護のつどいへの参加観察(家庭訪問事例の居住する地域で市保健センターが開催している介護のつどいに7回参加し、多数の介護者の思いや考えを把握することを目的とした。)においても、参加家族の発言より「家族の関係性が、主な介護者のサービス利用の選択、決定の行動や利用意識に影響する。」、「すでにサービスを利用している家族の話を聞くことで利用してみようという思いになる。」など、訪問事例からみられた結果が得られている。 今後の研究方針:現在得られている知見をもとに、さらに事例を増やし検証していく。
|