本研究の目的は、糖尿病の患者教育にメンタルヘルスケアからアプローチするために、糖尿病患者が日常生活で認知している心理社会的ストレッサーを計量的にアセスメントするための、自記式のアセスメントツールを開発することである。 今年度は、アセスメントツールの基本となるアイテムプールを作成することを中心に研究を行った。まず、国内外の文献をあたり(the Diabetes Health Belief Scale、the Diabetes Quality of Life Scale、 ATT39、 the Barriers to Regimen Adherence Scale the Questionnaire on Stress in Diabetes Patients等)、基本となるアイテムプールを作成した。それをもとに、糖尿病患者に聞き取り調査をし、質問項目の見直し、追加を行った。さらに、臨床において糖尿病患者教育に従事している看護婦と糖尿病について知識と科学的視点を持つ看護・保健学領域の研究者、糖尿病専門医に、内容的妥当性の検討を依頼し、質問項目の見直し、追加と削除を行った。上記のプロセスを経て、15項目のアイテムプールを作成した。 S病院の糖尿病外来の患者96名を対象に、15項目のアイテムプールを含んだ質問紙を配布し、90名から有効な回答を得た。「糖尿病を持つことで日常生活が変わったことをつらいと思う」「現在おこなっている自己管理がうまくいっているか心配に思う」「食事療法をしなければならないことを負担に思う」ことをストレスに思う割合が高く、「自分が糖尿病とみなされるのは恥ずかしいと思う」「低血糖がおきるのではないかと不安に思う」の割合は低かった。 今後の課題は、2回目の標本調査を行い、今回作成したツールの信頼性・妥当性の検討を行うことである。
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