本研究は、女性が妊娠期から産褥6ヶ月にかけて、家族のメンバーとともに、新しい家族成員を迎え機能的な家族を形成してゆくプロセスを記述することを目的として行った。研究プロセス:21人の妊娠末期の女性に対して第1回目のインタビューを実施した。うち13人は、産後2ヶ月のインタビューまで終了しており、8人が、夫・子どもと共にファミリーインタビューを実施した。データの遂語録は対象者に送付し、次回のインタビューの際に、家族の形成のプロセス・その解釈について研究者と話しあう指針とした。また、データ収集の方法は、個人インタビュー・カップルインタビュー・ファミリーインタビュー・女性数人によるグループインタビューにより、抽出されたカテゴリーの確からしさを確認した。分析は、データ収集と平行して家族社会学・家族看護学の先行研究に常にかえりながら十分に時間をかけ実施し、データ収集は、3回/月のペースで継続して現在も実施している。 研究成果:新しい家族成員を迎え家族を形成してゆくプロセスは、「家族内部の相互作用」と「家族外部との相互作用」に大きく分類され表出された。本研究における家族内部とは、女性・夫・ともに生活する子どもにより表現され、家族外部とは、それぞれの拡大家族・地域・職場や育児の仲間により表現された。また、妊娠末期には、機能的な家族の形成のプロセスを齎すものとして家族外部との相互作用の重要性が表現されるのに比較して、産後2か月には、家族内部の相互作用の充実の重要性が多く表現されてくる。特に産後は、家族内部の日常生活と深く関連した (1)あかちゃんを迎えられるように家族全員で準備・成長する (2)家族それぞれで、生活の役割分担する (3)家族が増えることを全員で楽しむ、を中心に表現された。 次年度への方向性への示唆:本年度研究成果より、新しい家族成員を迎え機能的な家族を形成してゆくプロセスの中で、家族は女性を中心として以下の生活の工夫をしていることが理解できた。(1)機能的な家族外部/内部との相互作用では、その時期の家族により必要なものを選択している。(2)育児が多忙を極める時期の家族の日常生活は、母親ばかりでなく、家族成員それぞれが、新しい家族成員を迎えた生活の中での自分を認識して機能してゆく。次年度は、過渡期が安定期にさしかかる時期(産後6ヶ月)の記述を加えて、より研究成果を洗練する。
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