1.先行研究の整理:療養者や家族の自己決定や訪問看護におけるインフォームド・コンセントに関する文献から「在宅での意志決定者」、「自己決定を支援するために訪問看護婦に求められる役割と機能」、「自己決定にかかわる看護婦の人間性と積極性」、「訪問看護婦の葛藤」を中心に整理した。その結果、(1)在宅での意志決定権は基本的には療養者・家族に属しており、この点が病院と明らかに異なるところである。病院のように医師に多くの決定権が集中しているわけではなく、看護婦は、療養者・家族の自己決定を支援しようとする姿勢を明確に持っていることが多い。(2)自己決定を支援するために訪問看護婦の役割と機能として、(1)療養者・家族の意思の表出と医師とのコミュニケーションを助ける、(2)情報を交換・共有、そして提供する、(3)職種間のコーディネートと仲間へのサポートする等が求められる。(3)インフォームド・コンセントを、「患者の権利」のひとつである「患者の自己決定権」を保障するためのものとして理解すると、それはあくまで療養者本人の意思を尊重することが前提となるが、療養者と家族でまるで反対の意思が存在した場合、訪問看護婦は葛藤が生じる。ことなどがわかった。 2.調査票の作成:上記の結果を踏まえ、予備調査用の調査票(半構成面接調査用)を作成した。在宅療養における自己決定の状況、心情、訪問看護婦のインフォームド・コンセントの実施状況、それに対する思い等を質問項目として用いることにした。本年度実施予定であったタイプの異なる訪問看護事業システム(病院・白治体等)における参与観察は次年度に実施し、その結果で調査票を追加・修正する予定である。
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