体温計製造メーカーから、家庭や病院で使用しやすい価格帯の、3種類の赤外線鼓膜体温計を購入した。それらを使用し、成人を対象に、前額部、腋窩、鼓膜の部位で、赤外線鼓膜体温計の連続測定における測定値のばらつきを検証した。口腔温は咽頭部の皮膚温測定を検証したが、赤外線放射部との距離があるため正確な測定値は得られなかった。現在、口腔内体温を測るための検討をしている。また、成人男性を対象にして鼓膜体温を測定し、測定者の手技によって鼓膜温を反映していないと考えられる測定結果が出ることが明らかになった。 次に子ども医療センターや保育所等で、小児を対象とした赤外線体温計を用いた鼓膜温測定、電子体温計を用いた腋窩温測定を行った。現在は小児は外耳道が狭く、体動も激しいため、測定者の手技によって鼓膜温を反映していない結果がでており、手技の慣れた測定者と手技の慣れない測定者との比較を行っている。以上の結果から、小児臨床現場で赤外線鼓膜体温計を使用するには、小児の鼓膜に赤外線を当てる手技が問題になることが判明した。 さらに、3種類のメーカの赤外線鼓膜体温計の測定結果についても比較し、現時点で最も普及している家庭用電子体温計を用いた腋窩温と比較検討している。平成9年から、様々なメーカーが赤外線を用いた鼓膜体温計を商品化してきており、引き続き購入可能範囲内で各メーカの鼓膜体温計を新生児を含めた小児臨床現場で使用して検討したいと考えている。
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