研究概要 |
目的:足浴におけるマッサージ指圧刺激がどのような生理・心理作用を及ぼすかを検討した。 方法:健康な女子10名を対象に、(1)足を湯につけるのみの足浴(以下、温浴群)と(2)温浴後マッサージ指圧を行う足浴(以下、マッサージ群)の2通りを行い、足浴施行前から終了後30分までの血圧・代謝量・心拍数と終了後1時間までの皮膚温を測定し、足浴の前後にSTAIの心理テストを行った。 結果・考察: 血圧と代謝量は、両群ともにそのケアが及ぼす影響はほとんどなく、安静時と各測定ポイントの平均値間においても有意差はなかった。 心拍数は両群ともに温浴中は上昇し、マッサージ群においてはマッサージ指圧中は安静時に比べ有意に減少した(P<0.01)。 皮膚血流量は温浴中は安静時に比べ増加傾向を示した(温浴群:P<0.1,マッサージ群:P<0.001)。また、マッサージ群においてはマッサージ中は温浴中よりもさらに増加した。 皮膚温は両群ともに足浴終了直後の時点では、胸、前腕、大腿、下腿、足背の広範囲で上昇し、さらに足浴終了後1時間になると、前腕、大腿、下腿、足背は胸(体幹部)よりも高値を示していた。また、特に大腿に注目すると、他の部位に比べ温浴中にその上昇度が高かったことから、下肢の一部の温浴であっても、下肢全体に温熱の影響が迅速に現れることが認められた。 STAIの点数は、その時の不安状態を指す状態不安の得点が両群ともに施行後が有意に減少した(温浴群:P<0.01,マッサージ群:P<0.001)。しかし、実験を(1)→(2)の順または(2)→(1)の順で経験した者とに分けてみると、足浴方法(1).(2)に関係なく初回に経験した方が2回目の足浴方法よりも、統計的に低い確立で有意に減少しており、実験環境や測定に対する不安など他の要因が関係していることが推察される。よって今回は足浴のケアそのものによる心理的影響を適切に評価できなかった。
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