積雪地域における85歳以上高齢者の外出行動と健康の関係について明らかにすることを目的に、札幌近郊の一自治体(人口約2万人、高齢化率約15%)における在宅者の訪問面接調査を行った。対象者は同自治体において1996年8月に在宅だった85歳以上の全124人としたところ、1998年2月の本調査時点で、入院、入所、拒否等による調査不能が計45人であり、有効回答は79人(男性36、女性43)であった。解析により、以下の結果が得られた。 1.積雪期の外出の実態:1週間の外出日数は全体の51%が7回以上(毎日)であり、全く出ない者は17%であった。1ヶ月間の外出先で多いのは、町内の医療機関(61%)、理美容店(47%)、近所の商店(46%)であった。 2.1週間の外出日数と健康との関連:1週間の外出日数は、身体自立度が高い者、知的機能が高い者ほど多かったが、健康度自己評価、疾病の有無とは有意な関連はみられなかった。 3.外出に関する満足度:外出に満足している者が82%、満足でない者は18%であった。外出の満足度は、健康度自己評価が高い者、身体自立度が高い者ほど有意に高かったが、疾病の有無、外出手段、外出時の危険な体験、1週間の外出日数などとの関係は明らかではなかった。 以上の結果から、積雪期の85歳以上高齢者においては、外出は量だけではなく、満足度のような質的な側面が重要であると考えられた。今後は、同対象の夏季の外出行動に関する調査を継続し、外出の季節差と健康の関連を明らかにする予定である。
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