本研究の目的は、乳幼児健康診査(以下健診)を受けた親の満足度を把握し、受け手にとって、より満足度の高い健診を提供するための指針を示すことである。 平成10年度の本研究では、前年度調査で把握された健診を受けた親の満足度に関連していたいくつかの要因について、受け手である親を対象としたグループインタビュー調査を行い、さらに質的に分析した。1回につき5〜6人の参加者によるグループインタビューを計3回実施し、語られた内容を分析した結果、以下の知見が得られた。 1. 健診の満足度の主要なテーマとして、個人的な体験に基づく対人関係に関する因子と健診のシステムや物理的環境に関する因子があげられた。対人関係に関する因子には、暖かさ、親身になること、個別的で具体的な対応、親だけでなく子どもに対しての配慮などがあげられた。健診のシステムに関する因子には、親と子どもにとって快適な環境の配慮、流れよく健診項目が配置されていること、健診の対象月齢と頻度の柔軟な体制などがあげられた。 2. 健診に関する受け手の認識は、子どもの成長を確認する大切な機会であり、なければ困る反面、おっくうに感じたり、義務的なものとしてとらえられていた。 今後、さらに分析を進め、より満足度の高い健診を提供するための指針を作成する予定である。
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