1. 布物性の範囲を広げるため、前回官能評価に用いたワンピースドレスに試料3点を加えて合計26種として、歩行を模擬するマネキンに着用させて、布の揺動の美しさの視覚評価を女子学生40名により行い、布の力学特性との関連を調べた。 2. 引張りおよびせん断の微小変形特性を測定するため、従来からある引張り・せん断試験機KES-FBIよりも、引張りでは50倍、せん断では25倍の出力感度をもち、低速度での測定や低引張り強制荷重でのせん断特性も得られる、簡易型の引張り・せん断試験機を試作し、薄手布に適した測定方法および条件を検討した。引張りでは、最大荷重を婦人薄手布の標準高感度条件の1/5の10-とし、速度もl/2の0.05mm/secとして測定し、特に、上述のワンピースドレスの揺動の美しさと布地の引張り回復性との相関が高く、重要な因子であることがわかった。せん断特性についても、強制引張り荷重を数段階に変化させ、この荷重のせん断カーブへの影響などを検討している。さらに、これらの引張り・せん断特性のほか、曲げ特性、目付けなどの布物性値と布の揺動の美しさとの関連を明らかにするため、多変量回帰式を検討している。 3. 布の品質評価については、HESC婦人服地研究会に加わり、布試料を提供し、専門家に依頼して、風合いの良し悪し、衣服のシルエットの美しい出来上がりの観点から、現在評価中である。 4. また、家庭洗濯による布品質の変化を知るため、新合繊やテンセル、シルクなどドレープタイプのブラウス地を試料として、柔軟仕上げ剤、のり剤、最近使われ出したシリコン含有の新仕上げ剤などの洗濯後の処理剤で10回繰り返し処理した布の力学特性・表面特性の実験を行い、風合い、シルエット、シームスリップなどへの影響などについても検討した。
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