研究概要 |
デンプン分散液に多糖類を混合すると、分散液の粘度が増加し、食感改良、保水性向上などの効果があることが知られている。コーンスターチ(CS)コンニャクグルコマンナン(KM)、キシログルカン(XG)を混合し、レオロジー的および熱的性質の変化を解析し、デンプンの糊化、老化特性におよぼすハイドロコロイドの影響について検討した。総多糖類濃度3.5w/w%で、混合比率の異なる試料を調製した。FLUIDS SPECTROMETER RFS 2(Rheometrics製)を用いて、周波数1rad/s、ひずみ4%、測定温度5℃で、調製直後および貯蔵中の複素剛性率G^*=G^1+iG^<11>の時間依存性を測定した。また調製1日後の貯蔵剛性率G'の時間依存性を示さなくなった試料について、周波数依存性を求めた。RHEONER RE3305(山電製)を用いて、貯蔵中の破断応力-ひずみの変化を貫入試験により評価した。たま測定温度70℃での試料の相分離を観察した。示差走査熱量計DSC PTC-10D,8240A(リガク製)を用いて、昇温速度1℃/分で、糊化ピーク温度、糊化エンタルピー、貯蔵後の再糊化ピーク温度、再糊化エンタルピーを求めた。 周波数依存性については、CS単独系では弱いゲルの特徴を示した。KM単独系は濃厚溶液の特徴を示し、CS-KM混合系はKMの比率が増すと弱いゲルから濃厚溶液の特徴を示した。XG単独系は希薄溶液の特徴を示し、CS-XG混合系はXGの比率が高くなるにつれ、濃厚溶液に近い特徴を示した。破断応力については、CS-KM混合ゲルとCS-XG混合ゲルはCS単独ゲルより小さくなった。離しょう量については、XG混合よりKM混合により著しく抑制された。DSCでは、デンプン1gあたりの糊化エンタルピーにはKM添加、XG添加では違いが生じなかったが、再糊化エンタルピーはKM添加によりややCS単独系より小さくなり、老化が抑制される傾向を示した。
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