生涯にわたる豊かなスポーツ生活を全ての人々が営んでいくためには、スポーツ環境の豊かさと共にスポーツやスポーツをとりまく環境と主体的・選択的に関わっていける生活者の生活能力の育成が不可欠である。学校をはじめとする子どものスポーツに関わる諸組織は、スポーツサービスの供給を通じて、こうした生活能力の育成を図らなければならない。そこで本年度は、スポーツ生活能力の操作化、及びスポーツ生活環境の分析枠組みに関する検討を行った。 まず、スポーツ生活能力の操作化にあたっては、その前提としてスポーツの生活過程を吟味した。その結果、およそ6段階から成るスポーツ生活の循環過程によってある程度安定したスポーツ生活の構造が形成されると考えられた。そして各段階ごとに必要とされる生活能力や生活技術(企画力、人間関係調整力、評価力、創造力など)を析出し、それらの能力が発揮される具体的な場面を想定して測定スケールを作成した。この測定スケールを用いた調査の結果、スポーツに関わる身体的・心理的な能力の高い者が、必ずしもスポーツ生活能力が高いとは言えないことが明らかとなった。 次に、スポーツ生活環境については、(1)スポーツ生活を支える生活財的環境(情報、施設、プログラムなど)、(2)それら生活財を供給する組織的環境、さらにそれら個別組織をトータルに含む(3)生活機構、および(4)生活時間・生活空間的環境、(5)スポーツに対する文化的環境(スポーツの行い方や子どもスポーツに対する価値観など)の5つの分類されることが文献研究により明らかにされた。
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