| 研究概要 |
【目的】これまで我々は、小児肥満児であっても内臓脂肪の蓄積と生活習慣病危険因子との間に関連があることを明らかにし、早期の対応が必要であることを報告してきた。本研究では小児肥満児の有する生活習慣病危険因子を早期に解消する上での食事療法、運動療法の効果を明らかにすることを目的とし、運動量、食事量が異なる外来治療群と入院治療群の間で体脂肪分布や血液性状の変化について検討した。
【方法】対象は単純性肥満児童12名とし、入院治療を行う5名(E群:10.4歳、%Fat 29.9%)と外来治療を行う7名(C群:9.7歳、%Fat 27.9%)とに分けた。E群は毎日の日課としての運動(13週間)をベースとし、自転車エルゴメータを用いた各個人の50%Vo_2max強度の運動を1回30分、週3〜4回、8週間にわたり行った。食事療法は栄養士が肥満の程度に応じ1300〜1900kcalの間で作製した。なお、運動療法による消費エネルギーは約300kcal/日であり、食事療法と併せてトータルで約500kcal/日の負のエネルギーバランスを作っていた。C群の運動、食事療法の実施は医師、栄養士からの指導のみとし各家庭にまかされた。体脂肪分布は病院所有のCT解析装置を用い、臍高部CT画像より求めた。採血は早朝空腹時に行い、TG、HDL-C、LDL-C、尿酸などの生活習慣病危険因子を求め、皮下・内臓脂肪量との関連を両群間で検討した。
【結果】食事+運動療法後、E群、C群の体重はそれぞれ7.7kg、2.7kg減少し、LBM は前後で両群とも有意差を認めなかった。総脂肪面積はそれぞれ143.3cm^2(40.9%)、54.4cm^2(21.6%)減少した。皮下・内臓脂肪面積の減少率もE群で約40%、C群で約20%であった。TG,ApoB、ApoB/ApoA1などの生活習慣病危険因子はE群においてC群よりも有意に改善していた。また、内臓脂肪面積の減少率は生活習慣病危険因子の減少率と有意に相関していた。
【結論】小児肥満児における適切な運動療法、食事療法は体脂肪分布の適正化を促し、結果として生活習慣病危険因子を低減させることが示唆された。
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