本年度は、日常生活において特に運動習慣をもたない者、週に一日だけ軽スポーツを行っている者、週に3日間定期的なラケットスポーツ等を行ない更にそれ以外の日には1日1万歩の歩行を心がけて実践している者など、様々な身体活動量を有する49才から77才までの女性20名に実験協力を得て、更に研究を継続中である。 現在までに、I.日常生活の中で行なう様々な身体活動場面(歩行、自転車駆動、軽スポーツ、階段昇降など)における脚筋の筋放電を筋電図によって取り出し、その放電を質と量の両面から分類することによって各個人の脚筋活動の特徴を把握する作業、II.最大脚伸展力の測定、III.大腿骨骨塩量の第一回目の測定、の三項目を終了した。更に、IV.年間を通した脚筋作業量を概算のための様々な身体活動場面ごとの歩数記録作業については継続実施中である。ここまでの測定では、平均的な1日の総歩行数は6684歩(最大9700歩、最小4100歩)であり、そのうち抗重力運動が1670歩、また階段の昇り下りが1日に約6階分(最大14階分、最小0.8階分)、自転車駆動時間が11分であるなど、生活の中における身体活動の内容に大きな個人差があることが分かり、各被験者ごとのこのような値と骨塩量との関係には高い相関傾向を得ている。 本研究は、各個人の脚筋活動を質的、量的に特徴づけ、それらの脚筋活動を一定期間維持した場合に、それぞれどの程度骨塩量が維持されるかを調べるという方法を用いて、骨塩量維持にはどのような内容の身体活動がどれだけ必要かということを明らかにすることを目的としている。そのため、今後も万歩計を使った日常生活強度の測定をこのまま継続し、脚の筋力発揮の内容と1年(2年、5年、10年)後の骨塩量および最大脚伸展力との関係等を明らかにすることを予定している。
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