本研究は、日常生活における各個人の脚筋活動を質的、量的に特徴づけ、それらの脚筋活動を一定期間維持した場合に、各人の骨塩量がどの程度維持されるのかを調べるという方法を用いて、骨塩量と脚筋力維持に必要な身体活動の質と量について明らかにすることを目的としている。 現在までに、・日常生活の中で行なう様々な身体活動場面(歩行、自転車駆動、軽スポーツ、階段昇降など)における脚筋の筋放電を筋電図によって取り出し、その放電を質と量の両面から分類することによって各個人の脚筋活動の特徴を把握する作業、・最大脚伸展力および足関節背屈筋力の測定、および・大腿骨骨塩量の2回の測定等を終了した。これまでの測定値は、骨塩量が必ずしも日常生活における総歩行数とは直線的関係がなく、階段などの立体移動の頻度、個人の体重などに依存していることを示している。また、被験者に対する問診によって得た病歴、運動歴と今回の様々な測定値との総合評価を各人に対して行ったところ、65歳以上の女性であっても日常的な生活強度を上げることである程度までは骨塩量回復が可能であるという結果が得られた。これらの結果をもとに、現在論文を執筆中であり、またこの内容については平成11年9月の体力医学会で発表予定である。 今回骨塩量測定に用いている機械は最新鋭のものであるが、1%程度の測定誤差が含まれている。そのため、目的とする関係を導くには更に2年間程度の継続測定が必要であると考えられる。2回目の骨塩量測定が終了し、本研究課題が対象とする研究期間は終了したが、現在も万歩計を使った日常生活強度の測定は継続中である。今回の被験者に対して今後も同様の測定を少なくとも3年間継続し、年に1度、骨塩量および脚筋力測定を実施する予定である。
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