研究概要 |
本研究は、19世紀のイギリスにおいて、外来文化として定着した体操の系譜を跡づけると共に,体操関連用語の系統的分類に重点を置いた書誌的研究である。研究の内容として文献解題も伴うものとして、「19世紀イギリスにおける体操の系譜と体操関連用語に関する書誌的研究」と題している。平成9年度には,具体的に当時の体操関係文献・資料及び参考文献として体操・学校体育史・スポーツ関係の専門書を蒐集した。19世紀にイギリスで刊行された体操書や体操に関する文書類の内容は,年代という時系列と共に,その系譜から分類が可能となった。 特に,体育Physical Educationを意味する英語表記文献の初出は,Samuel Smiles著のPhysical Education:or the Nurture and management of Children,founded on the study of their nature and constitution,Edinburgh,1838年版であった。さらに,James Chiosso 著のRemarks on Physical Education,London,1845年版と続いている。これら2つの著書は,1860年に出版されたHerbert Spencer著のEducation:Intellectual,Moral,and Physical,London,以前のPhysical Education概念考察に不可欠な文献である。 19世紀のイギリスにおける体操Gymnasticsの系譜は,ドイツ語圏のグ-ツム-ツからクリアスにつながる系譜とヤーンからフェルカ-へつながる系譜の2つが存在することが明らかになった。フェルカ-は1826年ロンドン体操会London Gymnastic Society設立に尽力している。これらは,James Yates著のThoughts on the advancement of Academical Education in England,1826の記述が資料となる。 19世紀イギリスの体操の系譜とその関連用語の出現事情を明らかにするために,これらの書誌的報告が平成9年度の研究実績である。
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