研究概要 |
研究計画:近赤外分光法(NIRS)は,筋酸素動態を無侵襲かつ簡便に測定できる点に最大の利点があるが、その特性上,絶対値の算出が困難であり,測定値の生理的妥当性についての検討が不十分である。そこで,本研究室において研究を重ねてきた磁気共鳴分光法(NMR)との同一部位同時計測を行うことにより,NIRS測定値の生体における意義について検討を行うことを目的とし本研究を計画した。現在当教室で行っている測定は前腕筋のみの計測に限られているが、今後のスポーツ医学的な応用研究の推進にあたっては、下肢筋の測定システムがより適切である。したがって、初年度(平成9年度)の研究は、足底屈運動用エルゴメーターの開発、設置および調整を中心とした。 研究成果:NMRスペクトロメーター内にエルゴメーターを設置する場合には、エルゴメーターの部品等は非磁性体を用いる必要がある。そこで、ステンレス、アルミニウム、強化プラスチック、木製合板等の非磁性体を用いてNMRスペクトロメーターの円筒状の内径(260mm)に適合するエルゴメーター本体(外径260mm、長さ350mm;ペダル部長さ245mm、幅110mm、厚さ20mm)を作製した。本エルゴメーターの作動状況が良好であることを確認できたため、現在ヒトの安静時下腿筋を対象としてNMRのシグナルの最適化を行っている。 本年度(平成9年度)に測定システムを整備した後に、来年度(平成10年度)は健常成人男性10名を対象とし,足底屈運動負荷試験を行ない、NMRの測定指標とNIRS測定における筋酸素消費量とを比較検討する。
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