今年度の研究により、以下のような成果が得られた。 1、女性舞踊家の身体的特徴(容姿)・技術的評価・舞台上の印象を、収集した資料を元に考察した上で、軽演劇という大衆文化の受け手である観客が求めた女性舞踊家像とその舞踊を明らかにした。 (1)浅草オペラにおいては、ある程度の肉付きの良い体型が要求され、身体を自由に動かす舞踊というものが、自己表現として、また元来は衣服の中に隠れている身体を眼前に提示するものとして認識された。 (2)映画館のアトラクションでは、浅草レヴュ-以前の初期においては映画館という場所で颯爽と踊る姿と行為が、浅草レヴュ-以後は脚線美とエロチシズムが要求された。 (3)浅草レヴュ-においては、細身の身体による激しい舞踊運動と脚線美が要求された。 2、女性舞踊家自身の書いた文章・記事を収集し、軽演劇という大衆文化の送り手である女性舞踊家にとっての舞踊に対する意識と自己の存在価値を考察した。 3、以上の研究成果の1部は、日本体育学会第48回大会にて演題「浅草レヴュ-の女性ダンサーと舞踊-女性ダンサーの容姿・技術と舞踊-」(1997年10月)で、また第44回舞踊学会にて演題「映画館のアトラクション(初期)の舞踊に関する一考察」(1997年12月)で研究発表を行った。 4、今後は、大衆文化の受け手である観客を女性に限定するために、さらに資料収集を進め、研究発表を行う。
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