1、 女性舞踊家の舞台外での行動に関し、収集した資料を元に考察した。 (1) 浅草オペラにおいては、売春・恋愛に励み発展女優の称号を得たり、恐喝を行う者がおり、そのほとんどが速成女優のように、技術の未熟さ・稚拙さを言われている。 (2) 映画館のアトラクションでは、浅草オペラでの盛名を売り物に人気を得た者がいた。 (3) 浅草レヴューにおいては、恋愛の噂に事欠かない者や、著名人のパトロンを持つ者がいた。 2、 1920年代の女性史に関し、女性解放運動と新しい女性の登場の両面からアプローチを行い、1920年代は、女性の自覚が芽生え、実践に移していった時期であること、しかしそれは一般女性にまでは及ばながったことを認識した。従って大衆文化の受け手となるのは、自由な外出の制限された当時は、特殊だったことが確認された。 3、 女性舞踊家は、売春や恋愛など男性に依存しており、女性史の流れに逆行するが、女性の観客は自由な外出を獲得しており、解放に向けて進む女性史の流れに添う存在だったことを明らかにした。 4、 以上の研究成果の1部は、早稲田大学ヒューマンサイエンス誌第11巻第2号にて論文「浅草オペラの女優達」(1999年6月発刊予定)で発表する。また日本体育学会第49回大会にて演題「映画館のアトラクションの女性ダンサーに関するー考察」(1998年10月)で、また第46回舞踊学会にて演題「関東大震災以後の浅草オペラ」(1998年12月)で研究発表を行った。
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