今年度行った、3〜5歳児を対象とした全国的な調査によれば、幼児期における定型的な身体表現には、発達段階に即した一定の獲得段階が認められた。今回は特に幼児が日常でよく表現する6つの題材を取り上げたが、全般的には、発達段階が進むにつれてこれらの題材の身体表現の定型化の割合は高くなる傾向にあった。 表現の題材によっては、特に3歳児で定型化の割合に男女差が顕著にみられ、入園以前の親や周囲の大人達によって形成されると思われるジェンダー等の社会・文化的性差の影響を強く反映していることが明らかとなった。また、幼児向けのテレビ番組の視聴の有無も、一定の身体表現の獲得に強く関与していることが、保護者へのインタビューを通して明らかとまった。園を中心とした教育的環境の影響に関しては、一般的な園と比較して、特に自由な身体表現活動を積極的に取り入れている園では、定型化の割合が低く、大きな動きを伴った表現が行われる傾向にあるという結果となり、教育的な支援によって、個性のある自由な身体表現へと導くことの可能性が示唆された。
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