本研究は、長野市教育委員会が長野オリンピックを契機に提唱した国際交流事業としての「一校一国運動」を題材にしている。本研究の目的は大きく2つに分けられる。第一目的は、オリンピックにおけるホスピタリティーアクティビティーである一校一国運動について、事業経営としての供給構造・過程を明らかにすることである。第二の目的、事業の需要側である生徒が事業に参加することによる教育効果を明らかにすることである。第一目的を達成するために、長野教育委員会、NAOC(長野オリンピック組織委員会)へのヒアリング調査オリンピック実施計画書などの文献より供給過程について調査・分析を行った。本年度の成果として、供給構造・過程については、長野市教育委員会が長野市内の各小学校及び中学校の招待担当国を割り振り、その後各学校が独自の交流活動を実施していく。内容は、大使館職員、在日外国人などの人々と、文通活動や講演会の開催など多岐にわたる。つまり、運動自体は長野市教育委員会が提唱主であるが、実質的な活動については、各学校に任されているのが現状であり、各学校は、招待担当国に対して独自に工夫を凝らし交流を深めている。相手国との連絡や橋渡しに、NAOCが関わる場合もあるが、一校一国運動はオリンピックやパラリンピックとは直接関係がない。教育委員会や各学校は、競技会を国際交流の教育契機ととらえており、従ってオリンピック終了後も担当国との交流活動は継続されることなどがわかった。具体的な交流内容については現在整理中である。第二目的を達成するためにオリンピックの開催前後2回の意識調査の実施(H9年12月とH10年3月に実施)、授業観察調査(H9年11月に実施)を行った。アンケート調査については一校一国運動に参加した市内の全中学校に調査票を配布した。調査協力校は、、市内全20校のうち16校であった。データは現在分析中である。
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