高齢者における高温環境下での運動時の体温調節反応を明らかにするため、その基礎的データとして日常的に激運動を行っている競技選手を対象に、夏期の陸上競技会(400m 障害)に出場した選手8名、補助員6名の血液性状、腋下温、環境温、飲水料、発汗量、主観的温度感覚の経時的変化を測定し、その変動を検討した。血液性状は白血球数、赤血球数、ヘモグロビン値、CPKなどで選手が補助員と比較して有意に変化しており、その変動に飲水量、発汗量が若干関与していた。腋下温、環境温、主観的温度感覚の変動に、競技出場選手ではそれぞれ相関が認められた。しかし競技に参加しなかった補助員では環境温と体温のみに弱い相関が見られるのみであった。選手、補助員ともに主観的温度感覚は腋下温が37.5℃を越えたあたりから敏感に暑さを感じる傾向が見られた。 以上の結果を受けて、日常的に運動(ゲートボール、陸上競技)を行っている北陸地方在住者(15才〜67才)の男女29人を対象に8月10日〜13日の期間、ウオ-キング、ゲートボールを行い血圧、運動量、飲水料、発汗量、鼓膜温、主観的運動強度、主観的温度感覚、血清乳酸値および環境温度を測定した。これに先立ち調査直前に医師による健康診断を行った。またこの期間の排尿回数、飲水量、食事状況、睡眠時間の生活調査を質問紙によりおこない、これらの測定項目から飲水量、発汗量、鼓膜温、血圧の相互関係を求め、主観的運動強度、主観的温度感覚や運動量を検討するとともに、年齢毎に分類し年齢の影響を検討した。
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