本年度の研究は、他者の身体に対する注視行動を発達的観点から考察することを目的とした。実験対象は、幼児、小学生、中学生、成人男子であり、新奇な身体運動をテレビ画面を通じて呈示する観察学習時の学習過程を分析した。 1.幼児については、生体情報装置装着に伴う身体的・精神的負担が当初予想していたよりも大きく、心拍・呼吸・GSRの測定は行わなかった。また、課題動作は他年齢層に用いる速度(M.M.84)の他に、これよりも遅い速度(M.M.42)を設定して呈示した。遂行動作の分析を通じて以下の特性が示唆された。 (1)学習過程初期段階では上肢動作を観察し、その習得後に下肢動作の観察へ移行する。この質的変化は呈示3〜4回を境として現れる。 (2)呈示速度が速い場合には、課題動作の誤認や学習意欲の低下が生じて習得が遅滞する。 (3)動作の方向性は初期段階に認識される。 2.小学生および中学生については、学校行事等の関連で日程調整が余儀なくされ、予定は少し遅れている。 3.成人男子は来年度の外国人を対象とした実験時に合わせて実施する予定である。
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