まず、(1)昨年度に収集した東アフリカにおける土地制度と農村環環・社会構造に関する英語圏の文献・事例研究(牧畜と砂漠化、傾斜地における土壌流出の問題など)の検討、(2)ケニアの土地保有に関する文献を検討して土地制度の変遷史を暫定的にまとめる作業、(3)そしてケニアの事例を、同様の自然環境を含みつつも、内戦、食糧危機、難民発生などのより困難な政治経済環境の下にある隣国スーダンと比較する作業を、昨年度に引き続き進めた。次に、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ地理学部のスタッフから本研究計画の内容について助言を受け、また関連研究・文献等の情報を得るために、1999年2月に9日間、イギリスに赴いた。本研究が対象とするケニア中央部における在来農村地帯から半乾燥地域への人口移動に関する研究動向に関する示唆を受けるとともに(人口移動、および農外就労の重要性)、とくにロンドン大学東洋アフリカ研究院図書館において関連文献の閲覧・収集を行った。英語文献調査を主としたが、これに加えて今回は本研究の対象地域であり過去数年にわたり研究代表者が現地予備調査を行ってきたニェリ県・ライキピア県のキクユ人の人口移動・農地拡大に関する仏語文献を収集し、研究展望の範囲を広げることができた。昨年度の研究で判明したとおり、ケニアにおける環境変化を土地制度という社会的視点から体系的に扱った文献は少なく、本年度は文献購入に予算を割り当てる代わりに、ケニア中央部の高地湿潤地帯〜低地半乾燥地帯をカバーする最新の衛星データ(1998年)を購入し、現在土地被覆変化の時系列分析を進めつつある。
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