研究概要 |
映像内容の解説を、テキストとして動画映像などにスーパーインポーズする方法は、良く用いられる方法である。通常の動画像では、画像の動く速度や画像内容などが大きく異なるため、テキストのスーパーインポーズ効果は、定性的な評価に頼ることが多かった。そこで、本研究では、仮現運動であるランダム・ドット・キネマトグラム(RDK)を利用して、画像の空間周波数や画面輝度などを制御し、画像内容と運動による学習への影響や効果を定量的に検討することを目的とした。特に、文章の読みやすさの観点から、音読速度に着目し、音読速度への影響と効果を検討した。 以下に本研究で明らかにした内容を示す。 (1)コンピュータ画面に横書きの平仮名文字パターンを示し、音読速度を測定した。この時、背景のRDKの移動速度を静止から5段階の速度で縦または横に振動させた。運動速度は、0,0.7,2.3,7,23deg/sec.である。その結果、23deg/secの運動速度では、運動方向に関わらず、有意に音読速度が低下した。また、運動速度が低速の場合、横方向の運動の影響は小さいまたは僅かに上昇傾向が認められたが、縦方向の運動による音読速度への影響は顕著であった。 (2)同様の実験を、縦書き文章についても行った。その結果、横書き文章の場合とほぼ同一の結果であった。このことから、文章の記述方向に関わらず、背景の低速の横運動の影響は小さいが、縦運動の影響は顕著である。また、23deg/sec.の速度では縦方向、横方向とも同様の音読速度の低下が認められた。
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