本年度、研究課題に対して以下の検討を行なった。 1.効果的かつ効率的な手話学習教材を作成するための基礎的データの作成 手話の学習においても他の言語と同様に語彙力の養成が重要である。これまでは、使用頻度の高い単語を中心に学習することで語彙力を身につけていたが、手話表現の特徴を考慮した教材を作成することで、より効果的かつ効率的に語彙力を高めることができると期待される。そめために、手話表現に関して次の2種類の特徴を調べ、教材の基礎的な検討を行なった。 (1)手話複合表現の特徴に関する検討 いくつかの単語の組み合せにより形成されている手話の複合表現に関して、先頭に来ることが多い単語を検討した。さらに、使用頻度の高い単語の学習の際に、その単語を使った複合表現を複数提示し学習することで語彙力を効率的に身につけられる教材の検討を行なった。 (2)手話表現の形態的特徴に関する検討 使用頻度の高い手話表現に対して形態的に類似した表現を検討した。さらに、形態的に類似した表現を組み合せた例文を作成した。類似した表現は間違えて覚えやすいので、より効率的に語彙力を身につけるためのこうした例文を使った学習教材の検討を行なった。 2.学習者のリアルタイム映像を活用するシステムの構築 手話の学習の際に、学習者の手話表現を学習者にフィードバックすることで、より効果的な学習ができると期待される。その効果を評価するためのシステムの構築を行ない、市販の手話教材や自作の手話教材に対して、リアルタイムで学習者の手話映像を表示して評価する際の問題点・注意点を検討した。
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