問題提示および解答過程記録システムとして、パソコン上で問題を提示して個々の問題の解答時間を測定するシステムを開発中である。解答過程を記録する実験に用いるために、マウスが指す位置の周辺部の情報(問題文や選択肢など)のみが提示される機能を付加することにした。この機能によって、解答時間のみではなく、被験者が着目した情報の順番も記録されることになる。 解答過程が測定されているかどうかを見るためには、既に解答過程がわかっている問題を用いて検証実験を行う必要がある。眼球運動やプロトコル分析などを用いることによって最も回答過程が詳しく調べられている空間テストの一つに、メンタル・ロ-テーションがあるが、このテストの得点には空間操作能力以外に方略の多様性も反映されていることがわかっている。そこで、方略の多様性を排除したメンタル・ロ-テーション・テスト(改変版)の設計を試みた。改変版をペ-パーテスト形式で実施して誤答傾向を分析した結果、方略の多様性がある程度とり除かれていることが判明した。また、被験者が大学生の場合は、天井効果を避けるために問題数を増やす必要があることも判明した。開発中の解答過程記録システムを用いて、改変版とオリジナルのメンタル・ロ-テーション・テストを提示した実験を行い、その差を見ることによって、問題の解答過程の分析を行う予定である。
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