解答過程が測定されているかどうかを見るためには、既に解答過程がわかっている問題を用いて検証実験を行う必要がある。これまで、眼球運動やプロトコル分析などを用いることによって最も解答過程が詳しく調べられている空間テストの一つに、メンタル・ローテーション・テストがあるが、このテストの得点には空間操作能力以外に方略の多様性も反映されていることがわかっている。前年度は、方略の多様性を排除したメンタル・ローテーション・テスト(改変版)の設計を試み、ペーパーテスト形式で実施した。誤答傾向を分析した結果、方略の多様性がある程度とり除かれていること、テストの後半では、前半よりも問題解決速度が上昇していることが示唆された。分析結果は、1998年度日本図学会大会および第8回International Conference on Engineering Design Graphics and Descriptive Geometryで口頭発表した。 また、問題提示および解答過程記録システムとして、パソコン上で問題を提示して個々の問題の解答時間を測定するシステムを、前年度から引き続き開発中である。解答過程を記録する実験に用いるために、マウスが指す位置の周辺部の情報(問題文や選択肢など)のみが提示される機能を付けることにした。この機能によって、解答時間のみではなく、被験者が着目した情報の順番も記録されることになる。
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