研究概要 |
本研究の平成9年度における目的は,次の2点であった。 (1).中学1年生による証明の構成のために必要な水準を設定する。 (2).水準の妥当性を検証するために必要なデータを教授実験で収集する。 目的(1)を達成するために,第一に,証明の目的・内容・表現の観点から「学校数学における証明」の概念規定を行った。第二に,証明の素地として説明に着目し,説明の目的・内容・表現の観点から「学校数学における説明」の概念規定を行った。第三に,説明の内容・表現に加えて,子どもの思考を観点として,説明から証明までに至る過程に,4つの水準を理論的に設定した。(なお,水準の設定に関する論文は,Educational Studies in Mathematicsに投稿中である。) 目的(2)を達成するために,第一に,平成9年12月に,公立中学1年の生徒に対して質問紙調査を行った。第二に,その中から被験者として3名の生徒を選抜し,説明から証明を構成するための教授実験を平成10年」1月に2週間に渡り実施した。その後,現職教師との研究会において,実験結果の公開と討議を重ねている。 以上の研究成果を受けて.平成10年度には,次の2点を実施する予定である。 目的(1)の達成において設定された4つの水準に関して,4つの水準を順に経て証明に至る必要があるか否かを論証すること。 目的(2)の達成において収集されたデータの分析に基づいて,4つの水準の妥当性や規範性を検証すること。
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