研究概要 |
本研究は,情報教育指導教員の情報活用能力を育成するための,大学及び現職教員研修機関のカリキュラム開発を目的としている. 先ず,中学校における情報教育の現状を調査するため,熊本県内の中学校196校に対してアンケート調査を行った(回答:92校,46.9%).中学校技術・家庭科及び選択の授業での情報基礎領域の履修率は100%であった.また,インターネットを利用している割合は18.5%で普及率としては低い値であるが,全国(12.5%)と比較すると,本県はほぼ全国並かそれ以上の普及であるといえる.さらに,今後指導が重要視されている「情報化の光と影」に関する指導を行っていたのは53.3%と低い値であった. 次に,九州管内の教員養成系大学(3校)及び公立の教育センター(52施設)での研修内容及びカリキュラムの調査を行った.大学については質問紙による面接調査を実施し,教育センターについては平成8年度全国情報処理教育センター指導者協議会編「聴取事項のまとめ」を用いて調査・分析を行った. その結果,両機関ともアプリケーションソフトの操作を中心とする研修がほとんどで,その他にはインターネットの体験,言語の習得であった.研修の問題点として,受講者の操作能力・興味関心の差が大きいこと,情報活用能力の育成までおよばないこと等が挙げられた.情報活用能力を育成するためには,ソフトの操作法の習得に留まることなく情報の判断・選択・処理・創造・伝達といった過程を経験することが望ましいといえる. そこで,学生及び教員を対象とした研修用テキストとソフトの作成を試みた.これらは,文部省主催の九州地区「平成9年度情報処理教育担当教員等養成講座中学校技術」において活用し,その後一部修正を行った.今後は,大学の演習及び現職教員研修においても活用し,教育的効果を検証する予定である.
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