1.道徳的コンピタンスの教育的意義に関する理論的研究 (1)道徳的コンピタンスの育成をはかるカリキュラムの先進事例として、オーストラリアで実施されている「子どものための哲学的探究」のカリキュラム研究を行った。「子どものための哲学的探究」の実態に関する資料を収集し、教育目標・内容・活動と教材・評価の在り方について分析した。さらに、このカリキュラムと日本の道徳教育とを比較検討し、道徳教育において問題解決能力や批判的思考力を育成できない原因を考察した。 (2)道徳教育も含め、倫理・価値に関する教育の将来の在り方について、教育界の有識者に対する調査を実施した。この調査結果に基づき、道徳教育の将来カリキュラムにおいて育成することが要請・期待されている能力とコンピタンスの関わりについて研究した。 2.道徳教育カリキュラム開発のための実証的研究 道徳的コンピタンスを育成するカリキュラム開発の実践事例として、現代的教育課題である国際理解教育における道徳教育の在り方を事例研究した。先進的な実践校4校(中学校2校・小学校2校)において、道徳教育や特別活動におけるカリキュラムを研究し、道徳教育における取り組みの問題点や課題を明らかにした。 3.道徳的コンピタンス育成のための教材開発 道徳的コンピタンスの育成のためには、ディスカッションを中心としてコミュニケーション能力の育成を図る道徳の授業が有効であることが、上記1・2の研究から明らかになった。また、従来の道徳の授業には、このようなコミュニケーションを図る教材の活用が不十分であることもわかった。そこで、子どもが、道徳的問題について自由にディスカッションするための教材開発を行った。さらに、開発した教材をもとに授業研究を行い、子どもの実態に即した教材の在り方を考察した。
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