研究概要 |
確率変数Xとその逆数1/Xが同じ分布に従うことの意義は、単位として逆の関係があって、一方の単位の計測値しか得られない場合、もう一方の単位の現象として解析したい場合が現実には多々存在することである。すなわち確率変数Xとその逆数1/Xがそれぞれ意味を持ち、それらの分布を用いて現象の解析が要求される場合である。 確率変数とその逆数が同じ分布に従う分布は、形式的にはいろいろ求められる。本研究の主な目的は、K損失関数に関連して、確率変数とその逆数が同じ分布に従う2母数の分布を新たに導出することである。 確率変数Xの逆数1/Xが従う分布が、Xの従う分布と同じ分布としては、2母数対数正規分布および2母数Brinbaum-Saunders分布が知られている。そこで、今年度は、これらの寿命分布について研究を行い、(Iwase and Kanefuji 1998a,1998b)の結果を得た。これらの分布の定義に於いては、単位を有する量に対しては、対数変換のみならず指数変換も施さない方針で行っている。このことは、本研究において重要である。 本研究では、正の領域で定義される分布の尺度母数のK損失関数に着目し、確率変数の逆数1/XがXの分布と等しい分布を求めている。そして、この分布の理論的な性質を解析的および数値的に研究し、平成10年度においてはその応用も含め研究を引き続き行う予定である。
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