研究概要 |
本年度は,並列計算機の仮想性能評価環境に対する基本方針の決定及び実装手法の検討,そして実際の並列計算機システムをターゲットとしたプロトタイプシステムの実装を行なった.その結果,以下の成果が得られた. 1.提案した計画に基づき.並列計算機の要素プロセッサのシュミレータと,汎用ネットワークシュミレータの組み合わせによる仮想性能評価環境の設計を行なった. 2.性能評価環境の各種モジュール間で受け渡されるプロファイル及びトレースファイルのデータ形式を設計し,それらのモジュールが互いに連結し,有機的に機能することを確認した. 3.実際の並列処理システムの例として超並列計算機CP-PACSを取り挙げ,実システムの各種アプリケーションにおける性能評価及びチューニングを行ない,提案する仮想性能評価環境の有効性を示すためのデータを得た. 4.CP-PACSをターゲットモデルとし.仮想性能評価環境VIPPES(Virtual Parallel Processor Evaluation System)のプロトタイプをワークステーション及びパソコン上に実装した. 5.実システム」と仮想性能評価環境での性能評価結果を比較した.その結果,小規模システムにおけるいくつかのアプリケーション例において,実用的な誤差範囲で性能予測が可能であるとの見通しを得た. 平成10年度の研究においては,本システムを並列環境に実装し,大規模化及び高性能化を図っていく予定である.
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