研究概要 |
関数プログラミング言語では,プログラムは決定的であり,制御を陽に指定する必要がない.また割り付けや割り当てはシステム側が指定でき,プログラムの可搬性が保たれる.研究代表者は,単一参照プロセス(他のプロセスから高々一度しか参照されないプロセス)は,実際には,計算結果をブロードキャストする必要がないため,これを予め検出しておけば,関数プログラムの並列実行性能を改善できることに着目し,抽象解釈によって単一参照プロセスを検出するための算法を提案している.本研究では,まず単純な関数プログラミング言語を定義した.次に,これを処理するシステムをScheme言語を用いて記述し,単一参照プロセスを検出する算法を,逐次型計算モデルによるシミュレータ上に実現した.さらに,これと並行して分散並列計算実験用のシミュレータを構成するため,ハイパキューブ結合網を対象に,経路選択算法と,その耐故障性能の向上をはかった.今後は関数プログラムを分散並列実行する際に,従来からある必須性解析や共有解析といった手法に,単一参照プロセスの情報を組合わせて利用できるシステムを開発し,その性能を評価する予定である.
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