研究概要 |
本研究の目的は次の2点である: (1)グラフ形成規則を定式化し、グラフの局所情報からグラフ全体を復元する方式を確立する。 (2)(1)で得られた方式を実際のデータ(タンパク質データなどの生物データ)に適用し計算機実験による知識獲得を目指す。 このために本年度は以下の実績を挙げている。 1.グラフ形成規則の定式化. 復元の手がかりとなるグラフ形成規則(Conformation Rule)をハイパーグラフを用いて定式化した。グラフ形成規則とは,本研究の議論の土台となるグラフの構造を記述する表現法であり,また生物学データからの知識発見や予測においてもキ-となる概念である。 2.グラフ形成規則の学習可能性の究明. グラフ形成規則の学習可能性と学習効率を計算量理論の立場から検討した.この結果,PAC学習(Probably Approximately Correct Learning)可能なグラフ形成規則のクラスを示すことに成功した.これによりグラフ形成規則の複雑さと学習効率との関係の特徴付けの端緒を開くことができた. 3.グラフ形成規則の学習アルゴリズムの実働化と計算機実験. 2.で構築したアルゴリズムが学習するグラフ形成規則からグラフを復元するシステムのプロトタイプを作成し,タンパク質の立体構造予測問題に適用した.これらの計算機実験を通して本研究の理論的側面の展開に還元すべき知見が得られた.
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