研究概要 |
本研究の目標は,オブジェクト指向モデルによる,OS,言語処理系,アプリケーションの統合を行い,応用指向システムの構築法を明らかにすることである.筆者が開発したOS/omicron第4版を用いて,本研究を遂行した.実際に行ったことは次のとおりである. 1.サーバやアプリケーションレベルで,オブジェクトを使うためのフレームワークとして,マイクロカーネルの整備を行った.特に,throwと呼ぶOSレベルの例外処理機構を実現した.throwは通常のメソッド呼出しに統合化しているので,システムレベルまで含む例外処理をオブジェクト内に取り込むことが可能である. 2.核となる言語としてC++言語処理系を設計し,そのサブセットを実現した.本環境が提供するダイナミックリンクを用いた手続き呼出しを,メソッド呼出しに適用し,C++言語への動的なバインディングを提供した. 3.オブジェクトを格納する機構として,「意紙」サーバを設計し,実現した.画像などのマルチメディアデータを,その型とともに「意紙」オブジェクトとして扱い,オブジェクトおよびオブジェクト間の関連をリンクとして永続記憶中に保存する機構を実現した. 4.V4システムが提供するデバイスドライバおよびミドルウェアのコンポーネントをオブジェクト化して,本方式の有効性を確認した.従来までに作成してきたドライバおよびコンポーネントをC++言語で書き直し,クラス化を行った.
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