研究概要 |
昨年度は,枝の始終端が再帰的に有向グラフとなり得るラベル付き有向超グラフに基づくデータモデル(以降,再帰有向超グラフデータモデル)を定式化し,再帰有向超グラフデータモデルにおけるデータの構造的な性質を明らかにした.また,再帰有向超グラフデータモデルのための格納構造として再帰性を有しない単純な場合の格納構造を設計し,その格納構造によりデータを格納するプログラム(グラフデータ格納プログラム)の実装を行った. 本年度は,再帰有向超グラフデータモデルの下に格納されたデータに対する問合せの処理方法について,問合せの基本となる,宣言的かつ高機能な書き換え演算をどのように分解して処理するかについて検討した.この結果,再帰有向超グラフの接続関係と包含関係に着目することで,書き換え演算は複合値を考慮したDatalogプログラムとして表現でき,処理可能であることを明らかにした.また,昨年度実装したグラフデータ格納プログラムを,グラフィカル問合せ言語インタプリタの講文解析時のグラフ構造,データ定義(スキーマ)の版管理時のリスト構造,スキーマ管理部の生成の際のデータモデル解析時のグラフ構造,ならびに,DBMS部品管理時のリスト構造を実現する際に試用した.この結果,グラフデータ格納プログラムは,性能的に問題がなく,また,二次記憶装置へのアクセスライブラリとして有効であることを確認した.ただし,応用プログラムとのグラフ構造のやり取りには煩雑な点もあり,今後改良する必要がある.さらに,昨年度定式化したデータモデルでは,スキーマをあらかじめ決定されている静的なものとしていたが,近年のデータベースの柔軟化に対応できるよう,動的に変更できるものとなるように修正を施した.ここでは,動的なスキーマの構造と操作のためのアルゴリズムを明確化した.
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