研究概要 |
本年度は,動作レベルハードウェア記述言語Evelynの言語仕様の策定を行なった.Evelynは,抽象的に記述された動作に機能合成のためのディレクティブを付加していくという記述方法により,ハードウェアのトップダウン設計を実現することを目標としている.本年度はこの目標を実現するために,主に以下の3点を提案した. モジュール境界の抽象化:より抽象的なモジュールを単位にハードウェアを記述する方法を提案した.実際のハードウェア構成とは独立の動作モジュールと,動作モジュールが行なう一連の動作によってハードウェアを表現する.これによって,ハードウェアを自然に記述することが可能となった. パイプラインの自動合成:時間方向に記述された動作と,そこに暗示的に示された処理間の時間関係からパイプラインを自動合成する方法を提案した.処理間の時間関係はsignalとsingalという2つの特殊な変数を用いて表現する.パイプラインのステージ構成の変更は,signalとsingalを入れ換えるだけで実現できる. 合成ディレクティブ:物理的制約に強く依存する設計と,そうでない設計を分離して記述する方法を提案した.物理的制約に強く依存する設計は動作記述とは別に合成ディレクティブとして与える.これにより物理的制約を満足させるための設計変更は合成ディレクティブの変更のみで実現でき,そのコストを大幅に削減することが可能となった.
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