研究概要 |
今年度における本研究では、2種類のFPGAモデルにおける配線最適化問題に対するニューラルネットワークを用いた並列アルゴリズムの提案,および,計算機シミュレーションによるその求解性能の評価を行った。まず、FPGAのセグメント化モデルの配線最適化問題では、異なる信号線間の短絡防止(=制約条件の充足)のみならず、信号遅延の最小化(=コストの最小化)が同時に要求されているため、制約条件の充足とコストの最小化を同時に実現する,漸進型ニューラルネットワーク(Gradual Neural Network)の適用を行った。この漸進型ニューラルネットワークは,我々の研究グループで提案している,組合せ最適化問題の新しいニューラルネットワーク解法である.また,FPGAの非セグメント化モデルでは,1)配線経路候補の抽出アルゴリズム,2)グリーディ配線アルゴリズム,3)ニューラルネットワーク配線アルゴリズムの3段階で構成される新しい配線アルゴリズムを提案した.これら2種類のアルゴリズムの求解性能の評価のために,まず,汎用計算機上で計算機シミュレータの作成を行った.その上で,各モデルの配線最適化問題における代表的な例題を対象として,各アルゴリズムの計算機シミュレーションを行った.その結果、提案するアルゴリズムが,各モデルの配線最適化問題における従来アルゴリズムより、得られる解精度の点で,優れていることを示した。
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