研究概要 |
1.誤り追跡入力の生成部作成:論理検証の結果,機能仕様と設計された論理回路の不一致が検出された場合,その条件を表す二分決定グラフをもとに,誤り追跡入力を生成するソフトウェアを開発した。 2.論理診断/自動修正部作成:高い多重度をもつ設計誤りを対象とする論理診断・修正手法を考案し,これをソフトウェアとして実現した。従来の手法では一度にすべての設計誤りを修正しようとするため,素子数nの回路中にm個の誤りが含まれるとO(n<SUP>m</SUP>)の計算時間が必要となった。考案した手法では,まず論理検証を行う。その結果,ある外部出力について論理の不一致が検出された場合に,誤り追跡入力を生成する。次に,機能仕様と異なる外部出力を頂点とするコーン回路(単一出力の部分回路)に着目して,その内部に含まれる設計誤りについて,想定する設計誤りの多重度kを1から順に増やしながら修正を行う。部分回路を対象とするので対象とする素子数nを小さくできる上に,一般には回路全体に含まれる誤りの個数mよりも小さな多重度kで修正が可能であるので,処理時間を大幅に短縮することが可能となった。誤りの種類について詳しく扱う前に,まず箇所の組合せ(組合せ箇所)の段階で誤り追跡入力を用いた絞込みを行い,考慮すべき組合せ数を大幅に削減した。さらに,得られた設計誤りの候補をもとに自動的にもとの回路に修正し,再度論理検証を行うことによって,最終的な設計誤りと修正された回路を設計者に提示するソフトウエアを開発した。修正しても機能仕様と一致しない誤り候補が存在する場合,不一致の条件を示す論理関数を二分決定グラフで表現し,再度1.の誤り追跡入力の生成処理を実行することで,高い限定効果を実現した。 3.性能評価:実験により,実際に人手で設計された種々の回路に対すて誤りの追跡・修正を行った。従来は3個程度の設計誤りの追跡・修正が限界であったが,考案した手法に基づくソフトウェアによって,最高では10個の設計誤りを自動的に修正できることを確認した。処理時間についても1/50程度に削減された。
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