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1998 年度 実績報告書

科学的実践における問題解決過程と協同の分析および確率ネットワークによるモデル化

研究課題

研究課題/領域番号 09780313
研究機関東京大学

研究代表者

植田 一博  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60262101)

キーワード科学的実践 / 科学的発見 / 問題解決 / 仮説形成 / 類推 / 図の利用 / 協同 / 認知モデル
研究概要

本研究では,実際の科学者や研究・開発(以下,R&Dと略記)チームのメンバーに対してインタビューを実施すると同時に,ある研究室での科学者の活動に関するフィールドデータを採取し,現実のR&Dにおいていかなる協同(collaboration)が有効なのか,科学者個人の思考にあってはどのような推論形態が頻繁に利用されてるのか,を分析した.
R&Dチームの協同に関してはまず,昨年度に実施した短期的になされた2人の間のサジェスチョンの事例を,今年度も主に現場観察手法によって収集した.その結果,昨年度までと同様に,得られた5つのデータをサジェスチョンによって与えられる知識のタイプと2人の間のポジションの差という2つの基準により,4つのタイプへと分類できた.現場観察では信頼性が高く,より詳細な2人の間のインタラクションのデータを得ることができたが,昨年度までにインタビューで得られたデータを質的に越えるデータは得られなかったと考えられる.
科学者個人の思考に関しては,昨年度に実施した類推の分析をより深め,類推の際に図やイメージなどの外的表象が利用されているか否かを分析した。その結果、図やイメージなどの外的表象の利用が類推を促進していると考えられる例が2例見つかった.その分析の結果,類推を促進する図には,問題解決に必要な資源(resource)が抽象的にかつキーポイントが明確になるように表現されていることがわかった.そして,そのような図を自動描画する以前に作成したシステムを改良し,実際の科学的発見により役立つと考えられるものを作成した.また昨年度の科学者が用いる推論の分析結果から1人の発想を支援するAIシステムに求められる要素を抽出し、発想支援システムに対する提言を行った.科学者が用いる推論の認知モデルの構築に関しては,ベイズ推論を行うネットワークを用いた定式化を行った(実装は完成していない).
本研究により,現実のR&D,すなわち科学的実践を支える重要な要素として,いくつかのタイプの協同と個人番による推論とを同定し、それらを科学者の認知活動というミクロなレベルで詳細に分析することができたと言えよう.またその分析結果のAIへの応用も模索できた.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 植田一博: "現場の科学者はいかにして良い発想を生み出すのか? 発想プロセスの認知科学的な分析と発想支援ツールへの提言" 研究開発マネージメント. 8・9. 1-11 (1998)

  • [文献書誌] Kazuhiro Ueda: "Image-Schema Transfer: Towards Computational Facilitation of Analogical Problem Solving with a Diagrammatic Representation" Proc.of 20th Annual Conference of Cognitive Science Society. 1073-1078 (1998)

  • [文献書誌] 岡田 猛: "科学を考える:人工知能からカルチュラル・スタディーズまで14の視点" 北大路書房, 395 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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