研究概要 |
バーチャルリアリティやコンピュータインターフェース及びコンピュータアニメーションの分野では,人体連動の計測は不可欠な技術であり,数多くのモーション・キャプチャー・システムが開発されている.これらのシステムにおいて広く用いられているイメージベースのシステムは経済性に優れ,非接触で計測が行えるため有用であり,複数のカメラによる時系列画像を入力とするシステムは数多く研究されている. しかし,複数のカメラによる時系列画像を得るのは,経済的負担及び撮影労力の負担がかかるため,単眼視の時系列画像を入力とするシステムの開発が望まれている.一方,単眼視の時系列画像から3次元人体運動を再構成する問題は,情報量不足などのため,本質的に悪条件である. 本研究では逆解析手法を適用し,単眼視のビデオ画像から,精度良く効率的に3次元人体運動を再構成する新しい手法を開発した.本問題における奥行き情報の欠如からくる悪条件性を人体モデル,関節角度の制約,動作のなめらかさ,バランスなどの先験情報を活用することにより克服した.以下にその手順を示す. 1.入力画像に画像処理を施し,人体の特徴点を抽出した. 2.主な関節角度などをパラメータとして人体をモデル化した. 3.入力画像から得られた座標値と人体モデルから求めた座標値との誤差を評価関数として逆解析手法によりモデルフィッティング(最適化)を行った.解空間の探索には,特異値分解によるランクの低減を用い,その際,関節角の制約,動作のなめらかさ,身体のバランスなどの先験情報を満足するような解を解空間の中から選定した. 実際にビデオ画像から再構成を行い本手法の有効性を示した.
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