「四人将棋」のコンピュータ対局システムを完成し、4人が別々の場所からコンピュータに入って、対局できるようになった。本システムは、UNIXネットワーク上でのコネクション型のプロセス間通信を用いたクライアント・サーバモデルを実現したものとなっている。指し手の自動判定(ルール通りに動かしているかを判定する)、手番処理(自動的に次の手番の人に指し手の順番が移動する)、詰み判断(対局の終了判断)を行えるようになっていて、ユーザインターフェースにも配慮している。 この対局システムを使って心理実験を計画した。2人のプレーヤーに2ヶ月間対局を行ってもらい、四人将棋に熟達者になってもらった。被験者は、大学の将棋部員で、通常の将棋の実力が高い者に依頼した。その後、四人将棋に習熟していない別の対局者との対局を行い、パートナーとの意図がどのように上手く伝わっているのかを調べる実験を行った。 実験法として、認知科学的方法として、発話プロトコル分析を行い、パートナー同士の発話内容を比較し、対局中の読みや直感がどれほど一致しているのかを調べた。また、並行して、対局者間の協和感(協調活動がうまくいったときに感じられる達成感)を尺度法で測定した。その結果、熟達者の組の方が有意に協和感が高く、発話内容にも強い一致が見られた。また、熟達者のプロトコルから熟達者ならではの思考パターン(熟達者モデル)が観察され、四人将棋における協和感は、熟達者同士のモデルの一致と関係があることが示唆された。本研究の成果は、内容をさらにまとめて、来年度以降、各学会へ発表していく予定である。
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